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映画ブラックパンサー鑑賞後の感想を思い付くままに(若干ネタバレあり)

映画「ブラックパンサー」を観てきました。

黒人の方々、あるいはアメリカ社会・多文化主義社会にとってエポックメイキングな存在であるこの作品、私としても歴史的な文脈での重厚感や快哉を感じましたが、おそらくその辺りの考察は既に素晴らしい記事が多々あるかと思いますので、ここでは表層的な感想をいくつか述べていきます!

※マーベルの話はしません

※物語の核心には触れませんがあんまり情報を入れたくない方はお気をつけください

 

 

・ざっくりしたあらすじ

アフリカの小国ワカンダはヴィブラニウムというレアメタルを拠り所にし随一の科学文明を築き上げて来たが、表向きは発展途上国として孤立主義を装い平和を保ってきた。このヴィブラニウムの秘密を守るためにブラックパンサーとして活動する国王ティ・チャラの話

 

 

・キャラクターの魅力

名前の付いた登場人物の中で、根っからの悪役として描かれる人物は白人の武器商人一人しか居ません。敵役となるキルモンガーはアメリカの黒人を象徴する役どころです。設定自体が現実離れしている対立ものの作品だと、敵役の行動原理が、作品としては社会的な問題提起と絡めていても物語としては突拍子も無い謎思想だったりしますが、ブラックパンサーではかなり説得力のあるシリアスなものとなっています。ブラックパンサーはキルモンガーの物語でもあります。それとは別の話として、初登場シーンの博物館のシーンのキルモンガーの出で立ちが清潔感あるのにストリート感溢れてマジで格好いいです。(イギリスの博物館って飲み物飲んで良いの?)

 

女性のメインのキャストは、強くて厳格な将軍オコエギークを通り越して天才科学者の主人公の妹シュリ、一番世慣れていて熱い信念を持つヒロインのナキアがいます。

日本に住んで日本の作品を観ていると、登場人物が同じ日本人でそれぞれ異なる性格や立場で設定されるという事が当然過ぎて意識にも上らないのですが、娯楽作品の中で(少なくとも日本に入ってくる作品の中で)頭数として揃えるような形ではなく、全員他人である黒人女性が3人出て来てここまで描き分けられている、というのはすごく新鮮で時代が進んで良かったという思いになります。

この辺りのお話は下記のレプリゼンテーションという概念の記事がとても興味深いので是非に。(貼り付け方分からないからURLで)

https://www.fuze.dj/2017/04/representation.html

この3人が個性的でそれぞれ魅力的!3人が常に一緒に動くのではなく、それぞれの立場や考えでそれぞれの出来る事をしながら行動します。ナキアも素敵ですが、個人的には後の2人のキャラが濃くて印象に残りました。オコエは目力が強くて戦う姿が美しい。シュリは蓮っ葉な喋り方でチャーミングです。字幕版で見ましたが訳もその雰囲気が出ていて良かったです。

 

もう1人の白人の主要キャストにCIAのロスがいます。登場時は曲者感のある渋いおじさんでしたが観ているうちになんかこのおじさん可愛いなと思いました。よく見たらマーティン・フリーマンでした。結構おいしい役どころです。どうでもいいけどマーティン・フリーマンマーティ・フリードマン(元メガデス)、名前の字面だけだとどっちがどっちか分からなくなるのは私だけでしょうか。

 

・映像や演出について

ワカンダ国の自然と文明が混在した街並みやアフリカらしい衣装が美しくて見応えがあります。未来でありながらスチームパンク的な魅力のある絵作りです。

音楽も場面に応じて、壮大で音楽の根源を感じさせるような所謂古代アフリカっぽい音楽と、現代的でクール、時に鼓舞させるようなヒップホップの二面性が楽しめます。とりあえずケンドリック・ラマーのCDが欲しくなったのでおススメ教えて下さい。

唯一のアジア要素が釜山を舞台にしたシーンです。釜山に行った事はありませんが、路地裏のエキゾチックさと表通りのカーチェイス時に見られる現代的な風景にリアルさがあり、カジノの部屋のスパイ映画っぽい虚構感とのバランスが良かったです。

リアルでカーチェイスする部分は迫力があり見応えありますが、遠隔操作でカーチェイス出来るのもワクワクします。というか何の責任もなく単純な遊びであの遠隔操作カーチェイスしたい。どこかのゲームセンターか某USJで出来るようになったら行きたい。