思念が奔逸中

情報発信の体裁で雑念のみ垂れ流します

言動の行間を想像で埋める事とトリプルファイヤーの歌詞について

前回、このブログを始めたきっかけとブログタイトルにある「思念が奔逸する」という事について、つらつらと記事を書かせていただきました。

 

malily7.hatenablog.com

 

簡単に言うと、「風が吹けば桶屋が儲かる」という超理論を展開したり、その論理展開の一連の流れを説明せず、「風が吹く」とか「桶屋が儲かる」という部分のみを断片的に発したい、という極めて自分勝手なコミュニケーション上の欲求の話です。

この様な欲求を持ち合わせているにも拘らず、社会生活に慣れきってしまうと、どうしても他者のそれには厳しい目を向けてしまう時があります。

 

以前、職場で少し他人と変わった思考回路の持ち主が居て「野外に置くチラシが風で飛ばない様にするための文鎮を買ってくる様頼まれたのに、家庭で製菓を行う用のゼリーカップを買ってきた」という事件が起きました。

当然頼んだ社員は憤慨しましたし、未だに理由は分からないのですが、彼の中で何らかの風が吹いたのでしょう。

強いて関わりがありそうなのは頼んだ時にその社員が言った「中国の置物みたいなの買うなよ、普通の銀色のやつでいいんだから」という一言です。「中国の置物みたいなの」というのは、本格的に書道を嗜まれる方が使っていそうな、龍などを象った青銅器風の文鎮の事だと推察するのですが、彼は分からなかったのかも知れません。きっと買い物中にも色々あって、彼の思考の中では風が吹いた事によって眼病が蔓延したり、それによって猫が乱獲されたりしたのでしょう。その結果、色だけは銀色のゼリーカップを買ってきたのです。

正直なところ、思考の流れとして文鎮とゼリーカップが繋がった事は良いとしても、実際に購入するかどうがは別問題で、どこかのタイミングでこの選択はおかしいと気が付かなかったのか甚だ疑問ですし、(彼はそれ以外にも事件を起こしているので)あまり擁護する気にはなれないのですが、人の思考は他者からは計り知れないと実感する機会ではありました。

職務中において、色々な状況や人の精神状態がある中で、何故このような突飛な言動をするのか、敢えて掘り下げて考える時間や労力を割く必要も義務もありません。しかし、自分の心に余裕のある時にはその言動の行間を想像で埋めてみる優しさを持ってみても良いのかも知れません。

 

このような、言動と言動の行間、計り知れない思考の流れを可視化(可聴化?歌詞化?)した作品にトリプルファイヤーの「野球選手になるために」という曲があります。

ロックバンドのボーカルでありながら大喜利企画で優秀な成績を残したり、タモリ倶楽部で特集が組まれたり、深夜ドラマに主役級で出演した吉田靖直さん擁するトリプルファイヤーです。

トリプルファイヤーの歌詞はいずれも着想やその言葉での表現の仕方が独創的なのですが、「野球選手になるために」は着想が分かりやすい構造で表されています。

タイトルの通り、野球選手になるためにすべき事が歌詞になっているのですが、その一つ一つの因果関係が論としては正しいながらも、蓋然性が低く奇妙な方向で連なっていきます。正に「風が吹けば桶屋が儲かる」までの思考を、一つ一つトレースしたような構造です。

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現実社会で突飛な行動をされたら実害があるためイライラしそうですが、自覚的に作品に落とし込まれると非常に味わい深いです。(尤も作品であれば脈略のない文脈を想像で埋める事が寧ろ楽しかったりします。作詞者のセンスが先鋭的な事の証明のような気すらしてくる)

「野球選手になるために」すべき事を曲と同じ要領で連想し続けていったら、人によって全くバラバラな着地点になりそうです。個人的には、この曲の着地点は中々の世間知があって嫌いではないです。皆さんはこの結果予想できましたか?

 

 

 

 

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