思念が奔逸中

情報発信の体裁で雑念のみ垂れ流します

タイ旅行雑感

前回はタイ旅行に持って行くべき荷物をまとめましたが、今回はひたすら雑感を述べていきます。

 

 

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①なんでも極端

屋外の暑さと屋内の強い冷房。からい料理に甘いデザートやジュース。とても愛想がよく礼儀正しい印象があるのに野外でウダウダ寝ている。なんでも振れ幅が大きい。

都会的な高層ビルや大きな商業施設がある一方、車窓から見る雑多な下町や古く小さい家々など貧富の差の様なものも感じます。以前ネットで、上海か北京かどこかの下町の路地の延長線上にそびえ立つ高層ビルの写真を見てスチームパンクが現実になったような印象を受けたのですが、バンコクでも同じような感覚をおぼえました。日本の街並みも他国の人から見たら同じ様に映っているのでしょうか。

某古都でも「伝統と先進性の融合」みたいな事をコンセプトにした街づくりが行われていますが(こういう合言葉は日本各地でありそう)、バンコクの街づくり行政の方針などは気になります。

 

②衛生面

バンコクの道路は所々生ゴミの匂いがします。最初の1日2日はキツかった。ホテルの清掃もそれほど丁寧ではないです。

反対にトイレは心配したほど汚くはありませんでした。使用したところが比較的しっかりした施設や王宮などの遺跡だった事もあるのかも知れませんが、日本の駅などでそれより酷い所はザラにありそうです。とはいえ、私は行きませんでしたが大衆的な観光地のトイレは酷かったようなので場所柄に左右されるようです。

 

③王宮見学時の服装

サンダル履きや短パン、女性のノースリーブは不可との事前情報があったので、ミモレ丈くらいのガウチョパンツを履いていたのですがコーディネーターに渋い顔をされ王宮に入る際は腰履きで丈が長く見えるようにしてくれと言われました。Tシャツの袖が短めのデザインだったのでトータル的な判断だったのか、コーディネーター的に揉め事を避けたいがための厳しめジャッジだったのか。

他の観光客で膝が隠れる丈のスカートの方は上から布を巻いていたり(巻いてもミモレ丈だし中のスカートの丈見えてるけど)、不適当なボトムスで来た人の為か、外でタイパンツが100バーツで売られていました。タイパンツは確かに丈は足首までありますが、生地が薄く太陽光の下では結構脚のラインが透けます。日本の感覚だと夏の部屋着なら丁度いい感じです。正直日本の感覚だとジャッジの基準が分からないので、心配ならフルレングスのズボンを履いていくのが無難です。タイパンツを買うなら買うで柄とかサイズとか吟味したいですし。

王宮内では脱帽、サングラスなども外しましたが、割とそのままの人も多いようでした。健康上の理由でしている方もいらっしゃるので、あまり厳しく言われないようになったのでしょうか。今回は摘発されている人自体見かけなかったのですが。

 

④観光

取り敢えず象に乗った時に一同が笑顔になった。一瞬暑さを忘れました。象、可愛いし頭が良い。10分300バーツ+チップ20バーツ程度、自分のカメラや端末で象と写真を撮ってもらうのに40バーツでした。団体で来るお客さんも多いのでいい感じに商売をしてそうです。

個人的に良かったのが湖越しにワット・アルンを見られた事です(暑くなければ、暑くさえなければ)。三島由紀夫豊饒の海 第3部「暁の寺」に出て来た所です。とはいえ現場で説明を受けるまで知らなかったのですが。豊饒の海は 春の雪>天人五衰>暁の寺>奔馬 の順で面白かった記憶があるのですが内容はうろ覚えなのでこの際読み返したいです。

 

⑤料理

そんなにからくなかったー、と言いたいところですが、激辛商店街に行ってみたりするくらいの人間が何を言っても説得力はありませんね。

今回は、基本的に昼と夜はタイ料理が用意されている旅程でした。タイ料理のみのコースも楽しめましたし、わざわざ日本からカップの味噌汁やら梅干しやらを持ち込みはしませんでしたが、バイキング形式の時は積極的に和食を摂取しました。出汁最高。間違いのないガリ。

あとは単純に量が多い。自分で注文するシチュエーションがなかったのでなんともいえませんがデフォルトでも多分多いと思います。勿体ないとは思うのですが、限界を超えて食べると非常に苦しいので無理はしない方が良さそうです。

 

⑥今回全然呑んだくれていないぞ!

暑い中で体調が悪くなる事や団体行動の中でのトイレが心配だったりで、今回飲酒は結構控えめでした。機内でもノンアル、昼食での飲酒も最終日の皆が飲む雰囲気の時だけです。飲み物はグラスから減ったらその分すぐに継ぎ足されるので、どれだけ飲んだか分からなくなるので必然的に控えめになります。お酒の種類は少なく基本ビールだったのですが、タイ・ウィスキーは一度飲みました。割と水多めで仄かにウィスキー味程度の物を出されたのですが、ウィスキー自体も癖がなくアッサリしてそうな印象でした。

 

⑦まとめ

とにかく暑かった!最終日以外めちゃくちゃ暑かった!タイ料理美味しかったけど暫くは良いかな…と思ったけどお土産に購入したトムヤムクン味のナッツを食べるのは楽しみです。でも今は取り敢えず日本酒を飲みたいです。

タイ旅行に持って行って良かったものなど

所用にて4泊6日でタイに行っておりました。

暑い時期に新興国へ、という事で心配性が故に荷物が増えていく一方でした。

今回はタイに持っていって良かったもの、あれば良かったかも知れないものなどをまとめてみます。

 

①必需品

・ウェットティッシュ

食事の際、殆どの場合おしぼりが出てきません。濃いめのソースがかかっていたり、手で掴んで食べる料理もあるので持っていくのがベター。

・水に流せるティッシュ

場所によってはトイレットペーパーがないトイレがあります。

・日焼け止め

日焼けをしたくなければ必須。汗で流れる為こまめに塗り直しが必要です。

・折り畳み傘

渡航する時期にもよりますが乾季でも雨は降ります。

・屋内で羽織れる上着

外の気温が高い分、室内は冷房がガンガン効いています。薄手のジャケットやカーディガンがあると良いです。

・常備薬

飲み慣れたものを一通り。

 

②持って行って良かったもの

・爽やかな香りのする虫除けスプレー

都市部にも蚊がいるので虫除けスプレー自体持って行った方が無難ですが、とにかく暑いのでこまめにスプレーして爽やかな香りをかぐことでリフレッシュ効果を得るというメリットもあります。朝スプレーして昼時にもスプレーをした腕は虫に刺されず、し忘れた脚は刺されたので3〜4時間置きにはスプレーし直した方が良さそうです。

 

・サングラス

目が開けられないほどつらい、というほどではありませんでしたが、掛けた方が目の疲れが軽減できます。はたから見ると掛けた方が涼しげに見えるそうです。移動中の寝顔も隠せます。

 

ミンティアフリスクといったタブレット

私自身はからい食べ物が好きなのでタイ料理がそこまで苦ではありませんでしたが、味が濃かったり癖のあるものが多いのも確かです。タブレットは口がスッキリする効果もありますし、食べ慣れた味を手軽に味わえるのでおすすめです。

 

③あれば良かったかも知れないもの

・替えのTシャツ

一日中晴れの日は汗を大量にかくので、着替えるタイミングがありそうな場合は事前に替えTシャツを用意しておくといいかも知れません。スケジュールが合えば現地でタイっぽい柄のものを買うのも有りです。

 

・耳栓

宿泊先の近くで鶏を飼っているところがあったのか、毎朝早朝から野太い鳥の声が聞こえました。近所の学校で練習試合をやっている時の歓声のような鶏の声…。それがなくても宿によっては壁が薄いこともありそうなので気になる方は耳栓があるといいかも知れません。

 

④持って行ったけれど使わなかったもの

・レインコート

乾季だったのと自動車での移動が多かったため、必要となる場面がありませんでした。

・必需品の予備

個人差や旅程に左右されますが、ウェットティッシュ3個は1個もしくは余裕を見ても2個で十分だったし、水に流せるティッシュ6個パック×2袋に至っては全く使いませんでした(しかし同行者によるとやはりペーパーがないトイレもあったようなので全く持って行かないというのはナシですね)。

 

今回は比較的過不足のない荷物で行けました。品目としては持って行ったものをほぼ使いましたが、一品目辺りの量が多くなりがちなのが、荷物が増える要因のようです。足りない物を現地で買える能力もしくは勇気、時間的余裕がある方は少ない荷物でも大丈夫かも知れません。でもいずれの場合も万全な健康状態が一番必須ですね。

 

 

松尾大社周辺 散策

少し間が空きましたが、先日書いた記事の嵐山散策の日に、少し足を伸ばして松尾大社の方まで行ってきました。

 

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敷地に入ると本殿の方へ向かう参道の途中に「お酒の資料館」というものが目に入りました。めちゃくちゃ気になったのですが、良心が咎めたので先に参拝を致しました。

楼門を入ると広い敷地の真ん中に拝殿、奥に本殿があります。よく晴れた日に広大な空間で参拝すると清々しい気分になります。

本殿の周りにも酒樽が沢山あります。松尾大社には何度か来たことがありますが、縁結びと交通安全のイメージが強く酒造神という知識がごっそり抜け落ちていました。何故そんなに重要な事を知らなかったんや…。

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規模の大きな授与所に御神籤、流鏑馬(といっても馬はいないけれど)を模した的当てのコーナーなど諸々充実した雰囲気です。

 

そしてお酒の資料館。(入場無料)

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「松尾の神は酒の神」というパワーワードが散りばめられた資料館でした。元々は渡来人の秦氏醸造技術を持っていたことが由来との事です。お酒だけでなく醤油や味噌などの製造業者にも崇敬されている神様です。

松尾大社やお酒や文化の歴史、色々興味深かったけれど、一番良かったのはこちら。身にしみるお言葉…。

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お酒の資料館の外には地元の酒造の、松尾の水を使った日本酒が販売されていました。試飲させていただきましたが、しっかりした日本酒らしい味でした。

 

松尾大社を出た後は英国庭園風の喫茶へ。

鈴虫寺方面へ徒歩10から15分のandanteというお店です。

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作り込み過ぎない自然なお庭から風が入って涼しい。

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いつもはアイスコーヒーなどを頼むのですが、ここは紅茶で。チーズケーキ以外にもスコーンやパウンドケーキ、チョコレートケーキなどがメニューにあります。いずれも素朴な雰囲気です。

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店内にはテディベアが沢山居ます。一角に集められているのでそれほど主張はないですが端的に言って可愛いです。

 

このお店、自分では絶対見つけられなかったし、探しても候補に挙げなかったと思う。友人の提案に乗ると新しい発見があって楽しいですね。前半酒酒言っていましたが、こういう休日の過ごし方いいなと思いました。

嵐山散策のススメ

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京都の嵐山というと定番の観光スポットです。あまりにも有名で人が多く集まるため、地元の人間は敢えて行きたいという場所では無いと思われがちですが、桜の時期を外せば人出は市街地とそれほど変わりありません。

ここ数年、他の土地から友人が遊びに来る時に嵐山を案内する機会が何度かありましたが、行ってみると毎回楽しかった思い出しかなかったので、改めて嵐山をお勧めする理由を挙げて行きたいと思います。

 

 

①良好なアクセス

嵐電(京福電車)の場合は二つの終点からそれぞれ、四条大宮から24分、北野白梅町から27分

阪急電車の場合たとえば、烏丸から21分、京都駅から36分

時間だけで見てもまずまずの好条件ですが、ここで強調したいのはバスではなく電車という点です。

こうした景色を楽しむような遠隔地のスポットは、大抵市街地のメインとなる駅からバスで40分〜1時間以上掛けて赴くようなアクセス条件が多いのですが、そうした場合、バスが時間通りに来るか、バスの限られたスペースに自分達が乗れるか、乗れても満員でしんどくないか、バスとバスの乗り継ぎは上手くいくか、帰りのバスの時間は、など結構心配事が多くなります。市街地を何ヶ所も回るのであれば一日乗車券を購入して京都市バスで回るのが便利ですし、一つミスっても次のバスや代替案があり取り返しが付きやすいですが、少し離れたスポットとなると計画が大幅に狂う可能性が出てきます。その点電車のキャパシティへの信頼感は計り知れません。これで体調が地味に悪くなったり、予定が狂って同行者と険悪なムードになるリスクが減らせますね。

 

②のんびりした雰囲気

街中の観光地だと、地元で生活をしている人や仕事をしている人、繁華街へ繰り出す人、色々な人がいる環境です。当然ゆったりと観光をしている人とは違った気忙しいマインドの人も沢山います。しかし遠隔地であればその殆どが観光しに来た人になります。

嵐山は遠隔地の中でもとりわけ楽しげでのんびりした印象があります。おそらく他の遠隔地のスポットは寺院への参拝がメインという点が影響していると思われます。やはり寺院となると厳粛な気持ちになったり、順路や参拝の手順が決まっていてぼんやりとは出来ません。仏教や歴史的な由来、建築物や庭、道具などの説明など知的好奇心を満たすものも多く、頭を働かせるタイプの楽しみ方です。

その点嵐山は、川や竹林などの自然を眺めたり当てもなく歩きまわったりといった、ゆったりとした時間を過ごせます。勿論能動的に楽しもうと思えば、社寺見学やボート遊びなども出来ます。

 

③国際色豊かで興味深い

個人的には、嵐山に来た色々な観光客の人を見るのが好きです。観察と呼べるほどじっくり見てはいませんが、嵐山には色々な人種・国籍の人がいる様子が目に入ります。市街地だとそれほど他人の事を見ていないのもありますし、スタンダードな服装をした東アジア系や欧米系の観光客の数が多い印象がありますが、嵐山ではアラブ系やインド系の服装の方もよく見かけます。インドっぽい民族衣装を着た女性が、着物を着た(おそらく一般の観光客の)若い女性と写真を撮っていたりして微笑ましい気持ちになります。

写真の撮り方一つでも、日本人だと友人同士で肩を寄せ合ってとか、風景の前でピースサインしたり微笑んだりと言った撮り方になりがちですが、外国の方だと一人で腰に手を当ててクールな感じでキメて撮っている人も多く、様になっていて格好いいです。

あとは同じ言語を話している別々のグループの外国人の方々を見ていると、本国では(ライフステージ的にも、個人の性格やノリといった意味でも)違うグループに属していそうな感じで、例え出身国が同じだとしても、もうここでしかすれ違わない人達だろうなと思うと感慨深いです。中国語らしき言語を甘い感じの喋り方で話している、夢可愛い髪色と服装をした女の子を、条件反射的に台湾人って思ってしまったのは台湾ドラマの影響でしょうか。大陸の人が夢可愛い髪色をしているイメージが無い。

 

④観光に特化した親切設計な街

通りにはお土産物やスイーツなどの路面店が並びます。店舗数が多いため、お土産一つ買うのにレジに行列せざるを得なかったり、全く食べ物にありつけない、といったことにはなりにくいです。しっかりした食事をしようとするなら早めに済ませるか、予約できるならするなど計画を立てた方が無難です。

嵐電嵐山駅の向かいには複合施設もあり、京都らしいお土産が一通り揃っています。1Fが食品系、2Fが工芸系です。こちらの1Fにあるマールブランシュは嵐山限定パッケージがあったりその場で食べられるようなアイスやエクレアなども売っています。丹山酒造ではスパークリング日本酒など飲みやすいタイプのお酒を売りにしているようで、量販店などにはあまり卸していないとの事なので荷物にならなければこちらで買うのもアリだと思います。

お店の人達は程よくドライかつ愛想が良い人が多くて楽です。

 

こんな感じで嵐山、比較的気楽に行けるスポットです。ハイシーズン以外で旅行をお考えであればサクッと旅程に組み込んでみるのはいかがでしょう?

 

脱毛サロンCMでの曲の起用でCHAIは新たなフェーズに入るのか

 


ミュゼプラチナムCM【2018 MUSEE ALWAYS FRESH篇_15秒ver.」

CHAIの曲がテレビから流れているなあ、とぼんやり思っていたら某脱毛サロンのCMでした。起用されている「sayonara complex」という曲はスローからミディアムテンポで爽やかで綺麗なメロディで、確かにCMの映像や脱毛サロンが訴求したいメッセージに合致しているのですが、私は凄く意外性をもって受け止めました。

あのCHAIが?ムダ毛処理について「ぎゃらんぶー」でコミカルかつパンチのある楽曲で取り上げたCHAIが?


CHAI / ぎゃらんぶー MV (ちゃんとしたミュージックビデオ Ver.)

CMの起用についてはバンドの一存で決まる訳ではないし、大人の事情だろうという向きもあるかと思いますが、敢えてそこは無視してCHAIが今後何をメッセージとして打ち出してくるのか、CM起用は転換期になるのか考えてみます。

chai-band.com

CHAIについての基本情報や経歴は公式サイトその他記事に詳しく掲載されていますのでそちらをご覧いただければと思います。とりあえず個性的で実力があって凄いのが分かるでしょ?

そしてCHAIを語る上で外せないワードが「NEOカワイイ」という概念です。これは「目が大きい」とか「身体が細い」「鼻が高い」と言った一般的にカワイイとされる要素に無理矢理自分を当てはめるのではなく、コンプレックスになり得る要素であってもカワイイのだという主張と結びついています。(とはいえ、CHAIというバンドは「絶対的に主張したい事があるから音楽を手段にする」タイプでも「とにかく目立ちたいor売れたいから面白い事をする」というタイプでもなく、バンドをやりたいしやるからにはちゃんと自分達が本当に思っている事を歌詞にしてコンセプトも付けていきましょう、という割と順当なタイプだと思っています。)この思想を端的に表しているのが「N.E.O.」という曲です。


CHAI『N.E.O.』Official Music Video

 

とても可愛くて格好良くて元気になる曲!

このように一人一人の多様なカワイイだったり容姿上の魅力を肯定しているCHAIが、脱毛サロンへ通う事を促す立場を取ったように見える…。(それがCMというもの)

元々「ぎゃらんぶー」にしても特に脱毛を否定しているわけではなく、ムダ毛処理はするものという前提で特別何かを表明しているタイプの歌詞ではありません。女性がムダ毛処理だったり化粧をする事が当たり前とされている社会はどうなのか、などという議論までいくとテーマが広くなり過ぎてCHAIが伝えたい事とは次元が違ってくるような気がします。なので脱毛サロンのCMに携わる事自体はそれほど矛盾は感じません。(そもそもsayonara complexの歌詞の中にも「ムダ毛といっしょにバイバイ」ってあるんですけどね)(CHAIだったらムダ毛処理や化粧をしない在り方も肯定してくれそうな気はしますが。)

それとは別に、CHAIの主張に少しだけ引っかかる点もあって。CHAIは可愛いし勇気付けられます。特に世の中的に「カワイイ」とされている一方向に囚われている多くの、ジャッジする側される側双方の概念を書き換えていくという意味で価値がありますし、そもそもCHAIのメンバーが考えている事の全てが歌詞に反映されているとも思っていません。

ただ、実際に今の自分が可愛いと言われたところでどうしても自分自身が受け入れられないという事もあると思います。他人を評価する上で色々なカワイイを認める価値観に非の打ち所はありませんが、他人の容姿ならカワイイと認められても自分だったら違う、という場合はありそうです。

彼女たちにしてみれば、かわいいは「つくれる」ものではなく、「(みんなすでに)なっている」ものなのだ。

https://www.google.co.jp/amp/s/rockinon.com/news/detail/168051.amp

上記の記事の言葉を借りるとすれば、カワイイは「なっている」ものかも知れないけれど、それはそれとして別の種類のカワイイを作っていってもいいのでは、と思います。

単純にコンプレックを気に病んで苦しい思いをしている人にとってはNEOカワイイは特効薬なので大いに活用すべきです。

ただ自分の思っているカワイイと他者から投げかけられるカワイイが同じ種類とは限りません。社会生活を送る上である程度一般の尺度に合わせた方が生きやすかったりもしますし。

自分の元々持っている要素を絶対に活かさないといけないの?というと取り分けCHAIの楽曲でそれを強制されているわけでもないです。寧ろ元々持っている物理的な要素+それをどう処理していくか(=どの程度まで受け入れるのか、どのように変えるのか)という内面的な要素も含めてそのままで良いというメッセージであれば良いなと思います。

ここに来て別バンドの話となりますが、バブル時代をテーマにした女性二人組バンド「ベッド・イン」のインタビューでとても納得感のある言葉がありました。

 

女の子が男性ウケのいいモテ服を着ていても「男の人にモテたいから着るんです、何か?」って言えたり、「自分好みの服がたまたま男の人ウケがいいだけ」って言えるんであればよくて。(まい)

https://www.cinra.net/interview/201801-bedin

 

個人的にはバブル時代の文化に興味はなくて、でも演奏とか力強くて格好いいな、くらいの印象だったのですが、このインタビューを読んで好感度が上がりました。私は自覚的な人が好きなので、自覚的な選択を是とする価値観は最高だと思います。

 

思えば、脱毛サロンに行くという事は自分のお金や時間をそこに掛けるという、極めて自覚的な行動です。そのCMに個性的でおそらく自覚的な活動をしているCHAIの曲、合間に聴こえる「かわいいだけの私じゃつまらない」という歌詞、とてもマッチしているとも言えます。

CHAIというバンドが世に出て来て、NEOカワイイという概念を軸に用いて、それを一番分かりやすい形で「N.E.O.」という曲で提示した時点で「カワイイの範囲を広げてありのままの自分を受け入れる」というメッセージを発信する第一フェーズは終了したのかも知れません。

今公開されている新曲「アイム・ミー」はこれまでのCHAIのイメージを踏襲しながらも、更に明るく屈託がない印象です。CHAIの第二フェーズ、今までのように自覚的に更に好き勝手やっていくのだと思うと今後も注目せざるを得ません。


CHAI『アイム・ミー』Official Music Video

 

米津玄師「爱丽丝」が攻めてて格好良いし圧倒的な飲み友感ある

一聴した時の表面的な格好良さとか、エピソード消費で曲を楽しめてしまう私は、表題の「爱丽丝」という曲をWALKMANで聴き流しては良さを分かったような気でいたのですが、先日カ一人カラオケ※1 で歌ってみて、やはり凄い曲なのではないかとしみじみ感動を新たにしています。※2


米津玄師 4th Album「BOOTLEG」クロスフェード

フルの動画は無いのでこちらで。

 

米津玄師さん、色々とタイアップも多くて今最も勢いのあるアーティストの一人ですが、世間的には地上波のドラマ「アンナチュラル」に「lemon」※3を主題歌として書き下ろした事を以って、ある種国民的に認知される存在となったのではないでしょうか。私自身は2年ほど前に「アンビリーバーズ」がラジオでヘビロテされた辺りでちゃんと存在を認識くらいで、それほど詳しい訳でもなかったのですが、4thアルバム「BOOTLEG」は購入しました。

 

 今回なぜ爱丽丝という曲を殊更取り上げるか、というよりそもそもBOOTLEGの購入の動機が爱丽丝が収録されているから、なのですが、では何故そんなに爱丽丝を聴きたかったのかというと(御察しの方もいるかもしれませんが、以前別記事でちらっと申し上げたように、私は八十八ヶ所巡礼というバンドが好きなので)八十八ヶ所巡礼のベースボーカルであるマーガレット廣井さんがベースで参加されているからという理由ですね。

 

爱丽丝 に携わったメンバーは作詞作曲に米津玄師さん、編曲及びギターにKing Gnuの常田大希さん、ベースに八十八ヶ所巡礼のマーガレット廣井さん、ドラムに元パスピエの矢尾拓也さんという飲み友メンバーで構成されています。新進気鋭感が凄いね!

 

この楽曲、構成メンバーがお友達というエピソードによる周縁的な付加価値がなくても(つまり、ビジネスライクに召集されただけのメンバーだったとしても)十分聞き応えのある面子です。米津さんは言わずもがな、King Gnuは今キているバンドとしてCHAIと双璧をなすような存在になっているし(多分)、八十八ヶ所巡礼は業界内評価がめちゃくちゃ高いバカテクバンドです。(残念ながら私は矢尾さんについてあまり存じ上げないので、この後の文章には殆ど出て来ません。申し訳ありません。でも仲いいですよね)

おそらくなのですが、このメンバーは色々な音楽家の中でもかなり独自の個性を持つ、ある意味癖が強いタイプの人達のように思います。普段から歌を歌っていたり、それぞれのバンドの中心メンバーだったり。爱丽丝という曲の素晴らしい所は、それぞれのメンバーの独自性が失われる事なく、一つの楽曲として融合している点です。

米津さんは、ストレートに爽やかだったり美しい感じの毒気のない歌詞も書かれますが、ちょっと衒学的で幻想的なタームを使ったシニカルなタイプの歌詞を書かれるイメージがあり、本作はまさにその方向性となっています。サウンドも歌詞の世界観に合った、これまでの米津さんのイメージと齟齬のない曲調です。

八十八ヶ所巡礼の曲は、リズムを刻むというより旋律を作っているようなうねるベースラインが特徴的なのですが、本作でも遺憾無く発揮されています。敢えて他人の名義の曲だから特徴を矯める、という事がされていません。

冒頭のベースが端的に特徴を表している、且つ色々な意味で最も癖が強そうな動画はこちら。


八十八ヶ所巡礼 「攻撃的国民的音楽」

 

ギターについてはマジでKing Gnuです。めっちゃKing Gnu(語彙力)。何がと問われても説明出来ませんが音色でしょうか?取り敢えずYouTubeとかでKing Gnuの曲数曲聴いて下さい。取り敢えずこの曲とか。

 


King Gnu - Tokyo Rendez-Vous

 

2番が終わった後の間奏部分の事をハイパーキングヌータイムと命名しています。ここだけを聴いてKing Gnuの曲と言われたら納得しそうです。

曲全体としては米津作品なのにベースはマーガレット廣井だしギターはKing Gnu!!※4 なんか凄い事が起きている気がする。(語彙力) 

元々「誰某が他の誰某のレコーディングに参加!」という類のニュース、盛り上がってていいなとは思いつつ、その価値はいまいちピンときてなかったんですよ。私の耳が悪いだけなんですけど、そこまで個々のプレースタイルがどうとか音源だけで聞き分けられないし、平素がそれならコラボした時の機微みたいなニュアンスみたいなのも分からないし。

でも逆にここまで個性の強い人々がそれをそのままぶつけてきたら流石にわかります。こういうの化学反応などというのでしょうが、寧ろ何でちゃんと一曲に綺麗に纏まるの?という驚嘆を覚えます。

ここまで来て矢尾さんのドラムについて何も言えないのが悔しくなってきたので聴こうかと思うのですが昔のパスピエを聴いたら良いのん?

以前に伊坂幸太郎さんと阿部和重さんが共著「キャプテン・サンダーボルト」を執筆した時のエピソードで、「お互いが最初に書いたパートにもどんどん修正をかけたので、どの部分がどちらとかは分からない、霜降り状態」と仰っていたのが面白かったのですが、曲の場合最終的な役割が分かれているのでどういう表現が適切なんでしょうか。サラダボウルでもメルティングポットでもないし、あれです、鮪とアボカドとクリームチーズを出汁醤油と辣油で和えたやつですね。

 

ここまでが掲題の「攻めてて格好いい」についてでしたが、ここから「圧倒的な飲み友感」について述べて行きます。駄文を極めていきますので、真っ当な歌詞解釈をお読みになりたい方は下記のブログを参考になさってください。

yonefreak.com

 

全体としては「不思議の国のアリス」※5 をモチーフにした米津節を強く感じる歌詞なのですが、注目すべきはサビの部分です。

曖昧な意識で彷徨った 摩訶不思議なアドベンチャー

虚しさを抱えたまんま 愛を使い果たした

何の話をしていたっけ フラついて零したブランデー

全てを明日に任せて踊ろうぜもっと      

 

確実に飲み会が開催されている…ような気がする!

「曖昧な意識」、飛ばし飛ばしの記憶にループする話題、制御し損なった身体、「ブランデー」。数ある酒類の中からブランデーというところがお洒落ではありますが、それにしても米津さんが飲酒をモチーフにした曲を書くとは思いませんでした。

酒の歌は世の中に数あれど、コンスタントに飲酒がモチーフの曲をリリースしているバンドといえば八十八ヶ所巡礼を置いて他に居ません。とはいえ、マーガレット廣井さんも八十八ヶ所巡礼名義ではない活動で、酒を前面に押し出してはいないはずです。今回は米津さん名義の曲で米津さんが作詞をする訳ですから、酒要素など全く期待していませんでした。

ところが蓋を開けてみれば飲酒の歌。何という酒に関する引きの強さ、安定感。ありがとう米津さん。ありがとう飲み友。

と、まあ巫山戯た感想を持ったのですが、結果的に廣井さんが外部でも飲酒の歌に携わった妙もさることながら、やはりこの曲を作ったメンバーが飲み友だったという事、飲み友たちがコミュニケーションをとりながらプロの仕事をして格好いい曲を作ったという事が有難い限りです。そもそも私はBOOTLEGの中で、純粋に曲調だけで言っても爱丽丝が一番好きなんですよ。飲み友とか関係なく、好きな音楽家達で作った曲だったらそれは気に入るに決まっています。…何の話をしていたっけ。話がループしている。酩酊してないのに。

 

 

※1 ヒトカラ専門店だと部屋が狭くヘッドフォン式で歌うことになるので、一般的なカラオケの方が快適

※2 カラオケ再生だとKing Gnu色の強いギターの音色が引っ込みベースラインが際立つ。また歌う際に歌詞の詳細やどんな字面なのかを改めて知る事が出来て味わい深い

※3 私の中でアンナチュラルの脚本が素晴らしすぎたのでどうしてもlemonという楽曲単体での評価が出来ません

※4 この一文で個人名とバンド名どちらにするか統一しなかったニュアンス伝わりますでしょうか。そもそも常田さんが編曲をしている上に、ギターという楽器の音自体が耳に付きやすいからではあるのですが、何となくKing Gnuはまあ常田さんのバンドだろうし、八十八ヶ所巡礼は三人揃ってこそだろう、というイメージがあります

※5 爱丽丝という曲名は友人である水墨画家のCHiNPANさんのタトゥーシールから付けられた、との事ですがCHiNPANさんは八十八ヶ所巡礼の楽曲「金土日」のMVに文字提供をされています

知人に自分の趣味を教える事

前回、見知らぬ赤の他人に自分の趣味を知られる事について書いたのですが、今回は知人に対してはどうか、というお話です。

 

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もう一生会うこともないであろう通りすがりの赤の他人であれば、その瞬間どう思われようとそれで終わりですが、関係の続く人物に対しては対応が難しいところがあります。

 

以前「苦手な人、あまり好きじゃない人に自分の好きな趣味について知られたくない」という話を、仲が良い割と趣味の話ができる職場の人にしたら面白がられましたが、これは結構特殊な考え方なのでしょうか。元々好感を持っている人に対してであれば、好きなものに同意されれば嬉しいし盛り上がれる。仮に同意されなくてもよっぽど酷い否定のされ方をしない限り、まあそういう人もいるか、で終わります。反対に苦手な人の場合、同意されなかったら否定された様で苛っとしそうだし、同意されたらされたで何か癪に障る気がします。

未だお互いにあまり知らず、薄っすら苦手かも程度なら、趣味が同じ事で一気に関係が改善される余地はありますが、自分の中で評価が定まっている人に対しては、お互い無駄に嫌な思いをしない為にも、敢えて自分の好きなものを開示する必要はないように思います。

 

そういう理由で自分の好きな趣味、特に否定されたらムカつきそうなものに関しては、ある程度見極めを行なった上で開示をするようにしています。

しかし、最近は別の理由でも少し開示を躊躇う時があります。相手にとって「その趣味のファン=自分が代表」問題です。

旅の恥はかき捨て、という言葉がありますが、その反対に「訪問先の土地の人にとっての日本人(などという属性)は自分の印象で決まってしまう事もあるのだから、日本人を代表していると思って恥ずかしくない行動をしよう」という考え方もあります。

 

それと同様で、その人のなかで(任意の趣味)が好きな人全体の印象が自分の行動によって決まってしまうのではないかという考え方です。

音楽フェスにおけるジャンルやバンド毎の文化の違いによって起きるファン同士の軋轢などの話は沢山聞きますし、そういう趣味の現場でのマナーは、見知らぬ人同士のマナーと同様に気をつければいいと思うのですが、日常生活においては気をつける事が多岐に渡りそうです。

どの趣味のファンであれ、良いヤツもいれば悪いヤツも居て、もっと単純にいうと自分とウマが合う人も合わない人もいます。メジャーな趣味であれば、自分以外のファンの存在を知っている可能性が高いので、責任が分散されますし、その趣味自体の印象は悪くならなさそうですが、そうでないもののファンだと、相手の知っている(任意の趣味)のファンは自分一人という事も有り得ます。

そういった時に、特別相手に悪意を持った行動をしなくても、「あの人自分は経済回してますみたいな顔してピリピリしてるけど、やってる事雑用レベルじゃねえか、アイツより基本給低いのかよやってらんねー」とか思われる可能性がゼロではないと思うと、ちょっと慎重にならざるを得ません。

(まあ、誰かが周縁的な業務を担うことで得られる全体の利益についてのコンセンサスとか、自分の給与が何の対価だと思って働くと気持ちの折り合いがつくか、みたいな事はありますがそれは別のお話)

そういう訳で、ウッカリ推しの印象を人質に取られた気分にならないように、新入社員の前で好きなバンドについて喋るか喋るまいか迷っている私です。趣味は合いそうな気がするのだけど。

そんな事より新入社員に、そして職場の人に優しくなろう。そうしよう。